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10cmフルレンジシステムの作成

コイズミ無線のユニットを見ていたらBel Suono 10cmフルレンジ KF1018Aというのを見付け、値段が割と安いし特性も良いので使ってみることにしました。

謳い文句は「コイズミ無線オリジナルブランド≪Bel Souno≫第一弾フルレンジユニット!

“美しい音”を意味する≪Bel Souno≫の名に恥じないユニットに仕上がってます。」だそうです。

でも図面を見ると実質口径12cmあり他メーカーのものより一回り大きいです。

キャビネットの設計をします。spedを使ってシミュレーションします。

10Lのバスレフでfd=57Hzぐらいで良いと解りました。

製作編

 

先ず材料を揃えて組み立てます。はじめは安いユニットだからt=15mmのMDFで作ろうかと思っていました。ホームセンターへ行ってみたら同じ厚みのアカシアの集成材を売っていました。予算が高くなりますが広葉樹の硬い材質の集成材でキャビネットを作ったことがなかったので買ってみました。板のカットもホームセンターでしてもらいました。ただカット精度が2mm前後あるのでピッタリ箱になるように合わせるのに苦労しました。トリマーや鉋を使って長い寸法を削りました。この作業に半日かかりました。

ダクト開口部とキャビネットの左右両端はトリマーでアールを付けました。写真は1台分の材料です。

ダクトはちょうど手元に持っていた内寸直径50mmの紙パイプを使いました。パイプの内面は黒く塗っておきます。塩ビパイプだと自分で切るのは難しいですが紙パイプは鋸で切れるので良かったです。

次はキャビネットを組み立てます。木工ボンドを使ってはみ出たボンドは濡れタオルで拭き取ります。組み上がったら重しをして2時間以上乾燥させます。

1日目はここまでです。

 

2日目になって次は塗装です。その前にNo320程度のサンドペーパーをかけておきます。色は美しい木目を生かしてクリアラッカーで塗りました。この艶を出すのに300mlのスプレーを2本使い4回塗り重ねました。これでほぼ1日かかりました。

2日めはもうひと頑張りします。

スピーカー端子の取り付けです。ファストン端子は先にケーブルに圧着しておきます。

端子に付属の螺子でキャビネットへ取付けます。

これで2日めが終了しました。

3日めです。

 

吸音材を取付けます。どれくらいの量が良いのかは一概に言えませんので、裏板の内面だけにまず入れて様子を見ます。

新品のユニットの場合4~5日は聴き込んでいくうちに音の出方が結構変わるものです。その時にまた再調整します。

通販で買った KF1018A が届きました。ごついダイキャストのフレームに金属のコーンとセンターキャップです。

価格の割に丁寧な作りで良い印象です。

どんな音が出るのかワクワクします。

ユニットにケーブルを取付けます。

ファストン端子はケーブルに前もって圧着しておきます。

ユニットを螺子で締め付けて取付けます。

ネジの位置は現物合わせで印をつけてから予め下穴を開けておきます。

螺子はX印のように対角線に締めていきます。

ようやく完成しました。

見た目からして格好良いです。

さて音楽を聴きましょう。

セッティングは大型スピーカーの上に横向きに置きました。

このほうが安定が良いし、左右の間隔が広く取れるので立体感がよく出ます。

私の好きなJazzやBossa Novaを聴いてみました。

いきなり思いもかけないほどの素敵な音色が耳に飛び込んできました。新品とは思えないくらいにバランスの良い音です。低音・中音・高音のどれも素敵な音です。音の歪みも全然感じません。

これはお値段以上の買い物をしたようです。しばらくは聞き惚れていたいです。

 

アンプは半導体のものと真空管のものとどちらも聴き比べてみました。アンプによる音の差は殆どありませんが、強いて言えば真空管の方が低音がゆったりとしています。私の好みで真空管のアンプで聴いてみます。

この真空管のアンプは組み立てキットを買って自分で作りました。出力管は6L6GCからEL34に変更してあります。回路形式はA級シングル3極管結合方式です。最大出力はおよそ3.5W+3.5Wと小さいですが十分な音量で楽しめます。

 

大変 エアー漏れ発見、

修理しなくちゃ!!

音楽を鳴らしながらキャビネットの周りを調べていました。すると1箇所エアーが漏れていました。一方の底板と側板の間です。よく見ると幅最大0.7mm長さ15cmほどの隙間がありそこから漏れていました。

考えた末に木工ボンドを内側と外側から塗って接着し直す方法で直すことにしました。まず内側は木工ボンドを多めに塗って綿棒で隙間に詰め込むようにすると共に補強桟も接着しました。外側は木工ボンドを塗ったら指で隙間に押し込む様に詰め込んでからはみ出した分は濡れ雑巾で拭き取りました。更に重しをして接着し直しました。これで乾燥させたら直ると良いのですが………

 

さて、ようやくボンドも乾燥したのでアンプに繋いで音楽をかけてみます。

なんと無事に接着出来ています。エアーは漏れていません。ほっと胸をなでおろしました。これで思う存分音楽が楽しめます。本当に良かったです。

 

まとめ:実質12cm口径でこれだけ良い音がするユニットがお値打ちな価格で買えたのはラッキーでした。キャビネットも良い材料を使って苦労して組み立てた甲斐がありました。聴き込んでいくうちに音の出方は変わるだろうとは思いますが最初からこんなにバランスの取れた良い音なのでそれほど変な方向には変わらないと思います。吸音材の量で調節できる範囲の変化だろうと推測します。数日間は聴き込んで行って見ようと思っています。

 

吸音材の調整

 

一晩小音量で音楽を鳴らし続けてから、朝置きたらまた音量を上げて聴いてみました。今度は半導体のアンプで聴きました。すると若干ですが中高音に濁りを感じました。これはキャビネット内部で反射した音が振動板を通り抜けて出てくるからと推理したのでもう少し吸音材を入ることにしました。そこで追加で天板の内側に入れました。

再びアンプに繋いで聴き直してみます。今度は音の濁りが取れてスッキリとした中高音になりました。これ以上吸音材を追加する必要は無いでしょう。更に素晴らしい音楽を奏でるようになりました。

 

バッフルと裏板を角材で結合すると音が良くなると以前に本で読んだことがあリます。それで余り材料を使ってやってみました。

低音の出方が随分と変化しました。迫力が出て締まりの良い音になりました。これだけのことでこんなにも変わるとは目からウロコです。良い体験をしました。

 

60時間聴き込んでみて

 

1日15時間前後で4日間聴き込んでみました。およそ60時間は鳴らした計算です。

 

音の出方はほとんど変化がありません。

聴き出して2日めにバッフルと裏板を角材で結合してから低音の迫力が増しやや高音が不足しています。

そこで吸音材の入れ方を変更してみました。具体的には天板につけていたものを半分にしてその余りを縦に半分にして側板に貼りました。

これで聴いてみるとちょうど良いバランスになりました。ヴォーカルをはじめサックスやピアノ、バイオリンやシンバルにバスドラやベースも良い感じになりました。

これで製作と調整を終了とします。